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ストックから誕生したウツワ「stock stock pottery」
規格外品だって、デッドストックだって、見方を変えれば個性あふれるプロダクト。
ものづくりの世界には舞台を降りたモノたち、舞台袖で出番を待っていたけど結局呼ばれなかったモノたちがいます。
けれど、それらは本質的な価値を失ったわけではありません。
PASS THE BATONでは、そうしたモノに別の角度から光を当てた商品「リライトプロダクト」を作っています。
PASS THE BATON MARKET vol.19では、その一例として陶磁器メーカーNIKKOさんとコラボレーションした特別なウツワが登場します。
倉庫に眠っていた真っ白な食器と、同じくデッドストックになっていた転写シール。
これらをカット&コラージュし、花や石、野菜や動物などのモチーフにして絵付けしたのが、今回発売するウツワです。
全て異なる柄、デザインの一点ものです。ここはひとつ「どの子を連れて帰ろうか」と迷ってみてください。




倉庫で眠る“宝物”
このプロダクトが生まれる背景について、少しご紹介します。
訪れたのは石川県・白山市にあるNIKKOの工場。
製造部長の中村さん、生産管理の松原さんに「どうしてデッドストックが生まれるか」伺いました。

「在庫は基本的にはないに越したことはありません。ものづくりの理想は作ったものが全て使われること。
だから、本来は必要な時に必要な分だけ作るのが望ましいんです。
ですが、お客様のニーズにお応えするにはどうしても在庫が必要なんです」(松原さん)

食器づくりの世界では、注文が来たらすぐ出荷できるよう、ボディを数百ピース単位で成形し在庫しておくのが常。
さらに商品のライフサイクルを読むのも至難の業です。
「ニーズがあるからと作った商品が突然売れなくなるということもあれば、5年前に作った商品が突然人気になるということもある。
100点満点の在庫管理は不可能に近いんです」(松原さん)
それでもNIKKOさんのスタンスはあくまで満点を目指しているといいます。
答えのない答えを探すようなもの……これはやっぱり至難の業です。
ウツワを彩ってきた転写シール
もう一つ倉庫に眠っていたのが転写シールです。
製造部長の中村さんは次のように語ります。
「転写シールは自社で印刷しています。定番商品は常に在庫を持たないといけないですし、コストを抑えるためにも数千枚単位で一気に刷るんです。
ところが商品が終売になると、その分のシールが残ってしまうんです」(中村さん)

これ、すべて出番を待つシールの在庫だそうです。シールだけで1LDKが埋まるくらいの量があります。

ランダムにあけると、かわいらしい草柄のシールがひょっこり顔を出しました。こんにちは。

転写シールとは焼成したボディに絵付けするためのシート。
これらのシールがこれまでたくさんの食器に彩りを添えてきたんですね。
せっかくなので、絵付けの工程を見せていただきました。以下、写真でご覧ください。
食器に絵付けされる柄は上の写真のようなシールになっています。写真はNIKKO REMASTEREDシリーズのロゴの転写シール。
シールの黄色い部分は、焼成すると透明になります。

これをひとつひとつ手作業で焼成した真っ白な食器に貼り込みます。
「ボディーの形状によって都度調整しながら貼るので、この工程は手作業でないとできないんです」(中村さん)

ズレのないように専用の測定ツールでひとつひとつ測定していきます。

こうしてきれいに貼った後、再度焼成すると食器が絵付けされるというわけです。

ちなみに、3000アイテム、764000枚ものシールがデッドストックとして存在しているそう。
その多さに驚かされますが、それだけ可能性もあるということです。
ストック✕ストック=ニューアイテム
倉庫に眠るボディと転写シール。この在庫をどうにかできないか。
NIKKOとPASS THE BATONは一緒に考えた結果、デッドストックとデッドストックをかけ合わせるという発想が生まれました。
写真で表すとこんな感じです。

両社で何度かワークショップを実施し、オーソドックスで使いやすいプレートやマグカップをボディとして選定。
転写シールはドットやスクリーントーンのようなパターンを花や石、野菜、馬など誰もが馴染みのある身近なモチーフに切り抜きコラージュしました。

再度、焼成を経て、デッドストックのボディと、転写シールから新しいテーブルウェアが完成しました。
在庫同士のタッグから生まれた新顔たち。かつて眠っていた素材が、今度は食卓の座に返り咲きを狙います。

「食器には各々に生まれた理由があります。生まれてきたからには食器として全うしてほしいという気持ちです。
眠っていたモノをもう一度起こして、皆さんに見ていただいて、食器として使っていただけたらこんなに嬉しいことはないです」(松原さん)
ストックから生まれたウツワ「stock stock pottery」
PASS THE BATON MARKET vol.19、NIKKOさんブースにて全54アイテムを限定販売します。是非、ご覧ください。
PASS THE BATONでは企業やブランドと共に、デッドストックや端材、処分対象となったアイテムなどを生かす「リライトプロダクト」を作っています。
もし、在庫やB品でお困りの企業様がありましたら、お気軽にご相談ください。